院長社本の健康コラム
歯やお口に関するケア、トラブル解決法をご紹介します。
年齢を重ねると食生活が変化する理由は?Part.2
心身の健康を維持する上で重要な栄養の入り口となるのが、お口の健康です。
以前お話した「心身の健康を崩してしまいやすい食生活の典型的なパターン」、覚えていますか?
・肉や卵、油ものを好まなくなる(好みの変化)
・せんべいやナッツを食べなくなる(硬いものを避ける)
・総菜やレトルト食品ばかり食べる(栄養の偏り)
・何を食べても味を薄く感じる(味覚の衰え)
・食事のバリエーションが減る(活動意欲の衰え)
この心身の健康を崩してしまう典型的な食生活のパターンは、特に高齢者において、その傾向が顕著に現れると言われます。
ですから、特に高齢者の方がいらっしゃるご家庭では、注意して観察していただきたいと思います。
一方で、「なぜ、年齢を重ねると食生活に変化が起こりやすくなるのか?」も気になりますよね。
ひとつは、以前もお話したように「身体の変化」が原因です。
・筋肉の衰えによるエネルギー消費量の減少
・消化液の分泌量が減少し腸の働きが低下
・内服薬の副作用
など、身体の衰えが食欲の減退を招くということです。
この「身体の変化」以外にも、高齢者の食生活に変化が起こりやすい理由があります。
まずは、精神的な要因です。
高齢者の方は、身近な人と死別など、周囲の環境の変化で起こる『老人性うつ病』が見られるケースがあります。
気分が落ち込んだり、意欲や気力が低下したり、注意力が散漫になったり、認知症とよく似た症状が現れ、食欲不振につながることがあります。
次に、お口の機能が低下することも、要因のひとつです。
歯の本数の減少や筋力の低下など、噛む力や飲み込む力が衰え、『食べる』機能が低下します。
味を感じる機能の低下など、食欲不振や摂取量減少につながるお口の要因は、数多くあります。
ほかにも、環境面の要因を見逃すことはできません。
高齢者の方は、1人暮らしや日中1人で過ごすなど孤食になりがちな環境があり、自分1人だし空腹を満たせれば良いという発想になりがちです。
また、調理が煩わしいことなども、手軽な食事や食事の回数が減少しがちな原因と言えます。