院長社本の健康コラム
歯やお口に関するケア、トラブル解決法をご紹介します。
年齢を重ねると食生活が変化する理由は?
心身の健康を維持する上で重要な栄養の入り口となるのが、お口の健康です。
以前お話した「心身の健康を崩してしまいやすい食生活の典型的なパターン」、覚えていますか?
・肉や卵、油ものを好まなくなる(好みの変化)
・せんべいやナッツを食べなくなる(硬いものを避ける)
・総菜やレトルト食品ばかり食べる(栄養の偏り)
・何を食べても味を薄く感じる(味覚の衰え)
・食事のバリエーションが減る(活動意欲の衰え)
この心身の健康を崩してしまう典型的な食生活のパターンは、特に高齢者において、その傾向が顕著に現れると言われます。
ですから、特に高齢者の方がいらっしゃるご家庭では、注意して観察していただきたいと思います。
一方で、「なぜ、年齢を重ねると食生活に変化が起こりやすくなるのか?」も気になりますよね。
ひとつは、身体の変化です。
一般的に加齢と共に運動量は減っていきますが、そうなると、筋肉は委縮し脂肪の蓄積が増えて、同じ体重でも脂肪の割合が高くなります。
筋肉はエネルギー消費量が高いのですが、脂肪はエネルギーをほとんど使いません。
そのため、高齢者のほうが消費エネルギーは少なくなります。
つまり、若い人ほどエネルギーを消費しないから食欲が減るというメカニズムです。
また、年齢と共に消化液の分泌量が減少して、腸の働きが低下することも食欲減退の原因です。
意外かもしれませんが、病気の治療のために必要な内服薬で、食欲が減退することもあります。
高血圧の降圧剤、高脂血症の治療薬、心臓の強心剤など、食欲減退の作用がある薬があります。
あるいは骨粗しょう症の治療薬など、味覚障害の要因となる薬もあります。
このように、ひとつは身体の衰えという理由から食欲が減退し、食生活が変化してしまうということです。